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リモートアクセスによる複写の処分の違法(リモート差押え) [法律]

平成28年3月17日に横浜地裁で判決があった、リモートアクセスによる複写の処分が違法であり、違法収集証拠として検証結果を排除しました。

今度、某所でこの判例を含めて話をしますが、当時の警察官も決裁官も検事も責任は重いと思うなぁ。

・携帯電話不正利用防止法違反及び偽造有印公文書行使幇助により通常逮捕
・被告人のコンピュータを差押えた
・捜索差押許可状には、リモートアクセスによる複写の処分の許可あり(218条2項、219条2項)
・捜索差押時にログインパスワードが不明
・検証許可状を請求し、送受信メールをダウンロード
・218条2項は、差押えに伴う処分=差押えに先立って行われるもの≠差押終了後に行うことは想定外
・検証許可状はあくまでパソコンに対して許可≠ンターネットに接続し、メールサーバにアクセスすることが当然に認められることではない
・本件検証はメールサーバの管理者等の第三者の権利・利益を侵害する強制処分にほかならない
・必要な司法審査を経ずに行ったのは違法
・メールサーバコンピュータが他国に存在する可能性
・他国の主権に対する侵害が問題となり得るもの
・外国に存在すると認められる場合には、基本的にリモートアクセスによる複写の処分を行うことは差し控え、国際捜査共助を要請する方法が望ましい


http://mainichi.jp/articles/20160318/k00/00m/040/142000c


ポイントは、リモート捜索差押が認められたのは、差押えに先立って行われる場合であり、かつ、国内にサーバがある場合。
差押え後にリモート差押えをしたいのであれば、国際捜査共助を要請すべきであるし、国外にある場合も同様である。

検証令状でリモート差押えと同一のことができると考えたのは、どうしてなのかは分かりません。過去にも別の捜査で同じようなことをしていたのかもしれません。
裏話をどこかで聞いてみたい。


最後に、国外にある場合になぜ国際捜査共助を要請すべきであるとされるのかは、サイバー犯罪条約32条が重要になるため、記載しておきます。
第32条 蔵置されたコンピュータ・データに対する国境を越えるアクセス(当該アクセスが同意に基づく場合又は当該データが公に利用可能な場合)締約国は、他の締約国の許可なしに、次のことを行うことができる。
a 公に利用可能な蔵置されたコンピュータ・データにアクセスすること(当該データが地理的に所在する場所のいかんを問わない。)。
b 自国の領域内にあるコンピュータ・システムを通じて、他の締約国に所在する蔵置されたコンピュータ・データにアクセスし又はこれを受領すること。ただし、コンピュータ・システムを通じて当該データを自国に開示する正当な権限を有する者の合法的なかつ任意の同意が得られる場合に限る。


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