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ブルドックソース事件最高裁判決 [法律]

去年出ていたブルドック事件最高裁判決、面白い内容です。

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この事件は、ブルドックソース社の買収防衛策のうちポイズン・ピルが有効と認めた最高裁判所の判例で、新株予約権を買収元企業であるスティール社の株主に割り当て、スティール社は新株予約権を行使できないと規定して、持ち株比率の低下を図ったもの。

これに対してスティール社が新株予約権無償割当の発行の差止等を求めて争ったもの。


株主平等原則(会社法109条1項)に反するため、差し止め可能と主張したことに対し、判決は以下の通り。

その前に、株主平等原則は、
株主は、株主を資格に基づく法律関係においては、その保有する株式数及び内容に応じて平等に取り扱わなくてはならないとする原則である。


これは、株主はその所有者が誰であってもいいのであるから(非個性)、株式の種類とその持ち株数に応じた取扱いをすることを定めたものであり、それに違反すれば、無効とすべき原則である。

判決は、個々の株主の利益は、一般的には、会社の存立、発展なしには考えられないものであるから、特定の株主による経営支配権の取得に伴い、会社の存立、発展が阻害されるおそれが生ずるなど、会社の企業価値がき損され、会社の利益ひいては株主の共同の利益が害されることになるような場合には、その防止のために当該株主を差別的に取り扱ったとしても、当該取扱いが衡平の理念に反し、相当性を欠くものでない限り、これを直ちに同原則の趣旨に反するものということはできない。
そして、特定の株主による経営支配権の取得に伴い、会社の企業価値がき損され、会社の利益ひいては株主の共同の利益が害されることになるか否かについては、最終的には、会社の利益の帰属主体である株主自身により判断されるべきものであるところ、株主総会の手続が適正を欠くものであったとか、判断の前提とされた事実が実際には存在しなかったり、虚偽であったなど、判断の正当性を失わせるような重大な瑕疵が存在しない限り、当該判断が尊重されるべきである。

としました。

つまり、株主平等原則は、新株予約権についても適用はあるが、取扱いが公平の理念に反し、不相当でなければ、原則に反しない
ということです。

原則の範囲内であるとして、例外として認めたものではないという趣旨です。
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