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任意処分と強制処分 [法律]

刑事訴訟法の基本的事項の一つ、任意捜査と強制捜査(任意処分と強制処分)の区別の基準について。


強制処分法定主義(刑訴法197条1項但書)において、強制処分を行うには、法定されたものでなければなしえないもののこと。

これは、憲法33条、35条を具体化したものであり、令状主義に基づく。

これにより、司法による事前審査を可能とし、捜査による人権侵害の抑制を図る。

そして、強制処分であれば、法の根拠が必要であるが、任意処分であれば不要である。

そこで、強制処分と任意処分の区別をいかなる基準で画するかが明文上明らかでなく問題となる。

判例は、
「強制手段とは,有形力の行使を伴う手段を意味するものではなく,個人の意思を制圧し,身体,住居,財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など,特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない手段を意味するものであって,右の程度に至らない有形力の行使は,任意捜査においても許容される場合がある」
最決昭和51年3月16日刑集30巻2号187頁(刑事訴訟法判例百選第8版1事件)

としており、有形力行使の有無ではなく、意思を制圧し、身体、財産等に制約を加え、強制的に捜査目的を実現することである。

学説では、被処分者の意思に反して、重要な権利侵害を伴うものを強制処分といったりする。


もっとも、意思に反して、重要な権利侵害を伴わないからといって、どんな捜査手法でも任意処分になるわけではない(刑訴法197条1項本文、捜査比例の原則)。

任意処分を行う必要性及び緊急性を要求し、具体的状況の下で手段が相当であるかどうかにより判断すべきであり、これらを満たさなければ、違法となる。


これを図式化すると、

強制でもあり得ない処分>強制処分>違法な処分>任意処分

左が権利侵害が強い
右が権利侵害が緩やか

#強制でもあり得ない処分とは、奴隷的拘束、拷問など。

そして、強制処分なら、法定の根拠(基本的には、逮捕、捜索・差押、検証、鑑定処分許可状)が必要である。

#令状が不要な強制処分もあり得る。
#現行犯逮捕、逮捕に伴う捜索・差押など


任意処分なら令状は不要。
法定されているものもある。

#職務質問
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