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錯誤無効(民法95条) [技術]

ここに記載していることは、法律上、講学上の話です。



民法第95条
「意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。 」


どっかの通販でミスがあったようです。

便宜上、20万円のところを2万円と記載したとします。


基本的なことから。

民法の重要な概念は、法律行為の規定です。
法律行為とは、法律効果を欲する意思とその表示行為によって、意思表示の内容通りの法的効果が発生する行為のことをいいます。


この法律行為や法的効果を簡単にいえば要件・効果といえます。


要件として、法律効果を欲する意思とそれに合致する表示行為があること、そして効果は、法律効果、すなわち、売買契約等が発生することです。


すなわち、法律効果を欲する意思とその表示行為の合致があって初めて法律行為が成立します。

20万円のところを2万円と表示した場合、本来、20万円の販売の意思があったのに、2万円と表示してしまっています。
意思と表示の不一致と考えることができます。

もっとも、通信販売においての申し込みは、注文者であり、販売者は承諾することによって契約が成立します。

しかし、この販売の表示段階で上記の不一致があったならば、その後の申し込みに対する承諾は、自動でなされることが多いと言えるため、販売の表示段階の法律行為が問題になると解せます。

とすると、20万円のところを2万円と表示したことは、意思と表示の不一致があったと考えることができると思います。

これは、表示の錯誤いうことになり、価格表示は、要素の錯誤、すなわち、法律行為において重要部分であり、かかる部分に錯誤がなければ通常かかる意思表示をしなかったであろう関係にあれば、要素の錯誤があるといえます。

とすると、民法95条本文によって、無効となるようにも思えます。

しかし、表示価格は本来重要な部分であり、かかる表示のミスは、表意者、すなわち、販売者にとって重大な過失があったといえます。

とすると、民法95条ただし書によって、表意者は自らその無効を主張することができないことになります。

これは、取引上の安全を重視した考えです。表意者に重大な過失があったなら、取引の安全を重視して、当該契約は相手方、すなわち注文者保護のために有効としようということになります。

とすると、販売者は、常に上記の2万円で販売しなくてはならないのでしょうか。


ここで、明文にはないのですが、民法95条ただし書が取引の安全を図っていることから、 相手方が、表意者、すなわち、販売者のミスに気づいていて注文した場合には、取引の安全を重視して、相手方、すなわち注文者の保護をする必要はありません。


そこで、かかる場合には、販売者に重大な過失があっても、注文者に対して無効を主張することができることになります。



さて、次は、誰がこれらの事実を証明しなければならないのか、すなわち証明責任です。
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