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錯誤無効の主張の証明責任 [技術]

続いて、証明責任の話です。


証明責任は、ある事実が真偽不明の場合に、かかる事実を要件とする法律上の効果の発生又は不発生が認められないとする一方当事者の不利益のことをいいます。

この制度は、ある事実が真偽不明の(どっちの言い分が本当かどうかわからない)場合に、裁判所は事実認定をすることができないことから、裁判の不可(判決をすることができないこと)を回避するために認められた法技術である。


そして、民事訴訟において弁論主義(裁判の起訴となる訴訟資料の収集と提出は当事者の責任と権能とする建前)の採用から、証明責任は、主要事実において適用されます。

主要事実とは、法律効果を規定する法規の構成要件該当事実のことをいいます。

そして、証明責任は、実体法を基準として判断します。




さて、さきほどの、民法95条の錯誤の規定は、

「意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。 」

でした。

まず、本文の
「意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。」
について考えます。

意思表示は、意思と表示のこと、
法律行為は、意思表示の内容通りの法的効果が発生する行為のこと、
要素は、重要な部分のこと、
錯誤は、意思と表示の不一致があること

です。


そして、販売者の販売行為において、意思表示の不一致があり錯誤があったため、無効と主張する場合、無効という法律効果を主張するのは、販売者であるから、販売者が証明責任を負います。

この証明責任を負った場合、証明できなければ、無効は認められません。


さて、錯誤が認められた場合であっても、民法95条ただし書から、

「表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。 」

を主張するのは、相手方、すなわち注文者であるから、注文者が証明責任を負います。

今回の場合、客観的に価格の錯誤は、重大な過失があるといえるため、証明は容易だと考えられます。


一方、明文にない、注文者が販売者の表示ミスを知っている、知るべきであった場合、「表意者は、」「無効主張をすることができない」と主張することはできないことになります。

これは、販売者が無効主張をしたいために主張するのであるから、この注文者が知っていた、又は知るべきであったことは、販売者が証明責任を負います。



ふぅ~~~。


難しいです。
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