遠隔操作事件の懲役刑の最高 [法律]
遠隔操作事件の最高刑はどのくらいか。
今回、起訴状では「ハイジャック防止法違反と威力業務妨害、偽計業務妨害の罪」とのことですので、この公訴事実が認められたとして検討してみます。
威力業務妨害罪
刑法第234条
「威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。 」
偽計業務妨害罪
刑法第233条
「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。 」
航空機の強取等の処罰に関する法律
第4条
「偽計又は威力を用いて、航行中の航空機の針路を変更させ、その他その正常な運航を阻害した者は、1年以上10年以下の懲役に処する。 」
これで、
威力業務妨害罪が懲役3年以下
偽計業務妨害罪が懲役3年以下
航空機の強取等の処罰に関する法律違反が懲役1年以上、10年以下
の懲役。
前科が2005年に逮捕とはありますが、いつ懲役刑が言い渡されたかは不明なので再犯かどうかは場合分けをしてみます。
◎再犯加重がある場合
刑法第56条
「懲役に処せられた者がその執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に更に罪を犯した場合において、その者を有期懲役に処するときは、再犯とする。」
さて、刑の加重減軽をするには、順番があります。
刑法第72条
「同時に刑を加重し、又は減軽するときは、次の順序による。
1 再犯加重
2 法律上の減軽
3 併合罪の加重
4 酌量減軽」
刑法第57条
「再犯の刑は、その罪について定めた懲役の長期の二倍以下とする。 」
再犯加重の場合、まず、いずれの刑も2倍します。
威力業務妨害罪が6年以下
偽計業務妨害罪が6年以下
航空機の強取等の処罰に関する法律違反が1年以上、20年以下
次に、減軽が無いとすれば、併合罪加重です。
刑法第47条
「併合罪のうちの二個以上の罪について有期の懲役又は禁錮に処するときは、その最も重い罪について定めた刑の長期にその二分の一を加えたものを長期とする。ただし、それぞれの罪について定めた刑の長期の合計を超えることはできない。 」
そうすると、最も重い罪が
航空機の強取等の処罰に関する法律違反が1年以上、20年以下
であり、これに長期の20年以下の二分の一である10年を加えて
懲役1年以上、30年以下
但し書きを検討すると、他の罪が6年以下なので、合計すると20年+6年+6年=32年。合計を超えていませんね。
30年<32年なので、但し書きの適用はありません。
おまけとして、そもそも32年が最大じゃ?とも思えますが…、
刑法第14条
「死刑又は無期の懲役若しくは禁錮を減軽して有期の懲役又は禁錮とする場合においては、その長期を三十年とする。
有期の懲役又は禁錮を加重する場合においては三十年にまで上げることができ、これを減軽する場合においては一月未満に下げることができる。」
があるため、30年を超えることはできません。
以上から、
懲役1年以上、30年以下
が刑の加重の範囲になります。
ここに法律上の減軽(心神耗弱など)があれば、併合罪の前に半分になり、さらに、酌量減軽があれば、全体の半分になります。
◎一方、再犯加重が無い場合は、
威力業務妨害罪が3年以下
偽計業務妨害罪が3年以下
航空機の強取等の処罰に関する法律違反が1年以上、10年以下
併合罪を適用して、
懲役1年以上、15年以下
(10年+5年=15年<⒑年+3年+3年=16年)
になります。
こんなにややこしい、法定刑。
ミスがあればご指摘願います。
今回、起訴状では「ハイジャック防止法違反と威力業務妨害、偽計業務妨害の罪」とのことですので、この公訴事実が認められたとして検討してみます。
威力業務妨害罪
刑法第234条
「威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。 」
偽計業務妨害罪
刑法第233条
「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。 」
航空機の強取等の処罰に関する法律
第4条
「偽計又は威力を用いて、航行中の航空機の針路を変更させ、その他その正常な運航を阻害した者は、1年以上10年以下の懲役に処する。 」
これで、
威力業務妨害罪が懲役3年以下
偽計業務妨害罪が懲役3年以下
航空機の強取等の処罰に関する法律違反が懲役1年以上、10年以下
の懲役。
前科が2005年に逮捕とはありますが、いつ懲役刑が言い渡されたかは不明なので再犯かどうかは場合分けをしてみます。
◎再犯加重がある場合
刑法第56条
「懲役に処せられた者がその執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に更に罪を犯した場合において、その者を有期懲役に処するときは、再犯とする。」
さて、刑の加重減軽をするには、順番があります。
刑法第72条
「同時に刑を加重し、又は減軽するときは、次の順序による。
1 再犯加重
2 法律上の減軽
3 併合罪の加重
4 酌量減軽」
刑法第57条
「再犯の刑は、その罪について定めた懲役の長期の二倍以下とする。 」
再犯加重の場合、まず、いずれの刑も2倍します。
威力業務妨害罪が6年以下
偽計業務妨害罪が6年以下
航空機の強取等の処罰に関する法律違反が1年以上、20年以下
次に、減軽が無いとすれば、併合罪加重です。
刑法第47条
「併合罪のうちの二個以上の罪について有期の懲役又は禁錮に処するときは、その最も重い罪について定めた刑の長期にその二分の一を加えたものを長期とする。ただし、それぞれの罪について定めた刑の長期の合計を超えることはできない。 」
そうすると、最も重い罪が
航空機の強取等の処罰に関する法律違反が1年以上、20年以下
であり、これに長期の20年以下の二分の一である10年を加えて
懲役1年以上、30年以下
但し書きを検討すると、他の罪が6年以下なので、合計すると20年+6年+6年=32年。合計を超えていませんね。
30年<32年なので、但し書きの適用はありません。
おまけとして、そもそも32年が最大じゃ?とも思えますが…、
刑法第14条
「死刑又は無期の懲役若しくは禁錮を減軽して有期の懲役又は禁錮とする場合においては、その長期を三十年とする。
有期の懲役又は禁錮を加重する場合においては三十年にまで上げることができ、これを減軽する場合においては一月未満に下げることができる。」
があるため、30年を超えることはできません。
以上から、
懲役1年以上、30年以下
が刑の加重の範囲になります。
ここに法律上の減軽(心神耗弱など)があれば、併合罪の前に半分になり、さらに、酌量減軽があれば、全体の半分になります。
◎一方、再犯加重が無い場合は、
威力業務妨害罪が3年以下
偽計業務妨害罪が3年以下
航空機の強取等の処罰に関する法律違反が1年以上、10年以下
併合罪を適用して、
懲役1年以上、15年以下
(10年+5年=15年<⒑年+3年+3年=16年)
になります。
こんなにややこしい、法定刑。
ミスがあればご指摘願います。
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