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刑法の概説 [法律]

刑法について改めて勉強しているので、各章の解説を記載しました。


第一編 総則
第一章 通則
 この章は、刑法がどこにいる誰に適用するのかや、刑が変更された場合の適用は、変更以前か、変更後かを規定しています。例えば、刑法1条1項は、日本国内で犯罪をした者には刑法の適用があることを規定しています。
刑法1条1項
この法律は、日本国内において罪を犯したすべての者に適用する。


 また、サイバーセキュリティに深く関わる電磁的記録についても以下のように定義しています。
刑法7条の2
この法律において「電磁的記録」とは、電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。


第二章 刑
 この章は、刑の種類を定義しています。例えば、懲役刑については、刑法12条1項において、「懲役は、無期及び有期とし、有期懲役は、一月以上二十年以下とする。」とし、同条2項は、「懲役は、刑事施設に拘置して所定の作業を行わせる。」として、懲役の定義を規定しています。

第三章 期間計算
 この章は、様々な期間の計算を規定しています。例えば、刑法24条1項は、「受刑の初日は、時間にかかわらず、一日として計算する。時効期間の初日についても、同様とする。」とし、同項前段は、初日の計算を規定しています。

第四章 刑の執行猶予
 この章は、執行猶予や一部の執行猶予を規定しています。執行猶予とは、その期間に新たな犯罪をすることなく猶予期間が経過すれば、言い渡された刑罰を受ける必要はなくなります。

第五章 仮釈放
 この章は、懲役や禁固に処せられた者の仮に釈放することができることを規定しています。

第六章 刑の時効及び刑の消滅
 この章は、刑の言渡し後の時効や刑の言い渡しの効力が消滅することを規定しています。

第七章 犯罪の不成立及び刑の減免
 この章は、違法性阻却事由である正当防衛(刑法36条1項)や緊急避難(刑法37条1項)、正当業務行為(刑法35条)、故意(刑法38条1項)や刑事責任を負わせられない刑事未成年(刑法41条)などを規定しています。

第八章 未遂罪
 この章は、未遂による刑の減免を規定しています。

第九章 併合罪
 この章は、併合罪(刑法45条前段)や牽連犯(刑法54条1項後段)、これらの場合の刑の併科や付加などを規定しています。

第十章 累犯
 この章は、再犯や刑の加重などを規定しています。

第十一章 共犯
 この章は、共同正犯(刑法60条)や共犯、身分犯(刑法65条)などを規定しています。

第十二章 酌量減軽
 この章は、情状酌量を規定しています。

第十三章 加重減軽の方法
 この章は、法律上の減軽の方法(刑法68条)や端数の切捨て(刑法70条)、加重減軽の順序(刑法72条)などを規定しています。

第二編 罪
第一章 削除
 この章は、削除されました。

第二章 内乱に関する罪
 この章は、内乱罪(刑法77条)や内乱予備罪(刑法78条)などを規定しています。

第三章 外患に関する罪
 この章は、外患誘致罪(刑法81条)、同罪の予備罪(刑法88条)などを規定しています。

第四章 国交に関する罪
 この章は、外国国章損壊等罪(刑法92条)、私戦予備罪(刑法93条)などを規定しています。

第五章 公務の執行を妨害する罪
 この章は、公務執行妨害罪(刑法95条)などを規定しています。以下のように、公務員の職務執行を妨害する場合の犯罪です。
刑法95条1項(公務執行妨害罪)
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。


第六章 逃走の罪
 この章は、逃走罪(刑法97条)などを規定しています。

第七章 犯人蔵匿及び証拠隠滅の罪
 この章は、犯人蔵匿等罪(刑法103条)、証拠隠滅等罪(刑法104条)などを規定しています。

第八章 騒乱の罪
 この章は、騒乱罪(刑法106条)などを規定しています。

第九章 放火及び失火の罪
 この章は、現住建造物等放火罪(刑法108条)、延焼罪(刑法111条)などを規定しています。人が住居に使用していたり、人がいる建造物等への放火は死刑又は無期若しくは5年以上の懲役刑ですが、人が住居に使用しておらず、人がいない建造物等への放火は2年以上の有期懲役刑と大幅に軽くなっています。

刑法108条(現住建造物等放火)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
刑法109条1項(非現住建造物等放火)
放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、5年以上の有期懲役に処する。
同条2項(自己所有建造物等放火)
前項の物が自己の所有に係るときは、六月以上七年以下の懲役に処する。ただし、公共の危険を生じなかったときは、罰しない。


第十章 出水及び水利に関する罪
 この章は、出水させて浸害させる現住建造物等浸害(刑法119条)などを規定しています。

第十一章 往来を妨害する罪
 この章は、電車等の往来の危険を生じさせる往来危険罪(刑法125条)などを規定しています。

第十二章 住居を侵す罪
 この章は、住居侵入等罪(刑法130条)などを規定しています。

第十三章 秘密を侵す罪
 この章は、信書開封罪(刑法133条)や医師や弁護士による秘密漏示罪(刑法134条)などを規定しています。

第十四章 あへん煙に関する罪
 この章は、あへん煙輸入等罪(刑法136条)などを規定しています。

第十五章 飲料水に関する罪
 この章は、水道汚染罪(刑法143条)などを規定しています。

第十六章 通貨偽造の罪
 この章は、通貨偽造罪(刑法148条1項)、通貨偽造準備罪(刑法153条)などを規定しています。

第十七章 文書偽造の罪
 この章は、公文書偽造罪(刑法155条1項)、虚偽公文書作成等罪(刑法156条前段)、私文書偽造罪(刑法159条1項)、サイバー犯罪で非常に重要な電磁的記録不正作出罪(刑法161条の1第1項及び2項)などを規定しています。

第161条の2第1項(私電磁的記録不正作出罪)
人の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を不正に作った者は、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。


第十八章 有価証券偽造の罪
 この章は、有価証券偽造罪(刑法162条1項前段)などを規定しています。

第十八章の二 支払用カード電磁的記録に関する罪
 この章は、クレジットカード等を不正に作成する支払用カード電磁的記録不正作出罪(刑法163条の2第1項)などを規定しています。

第十九章 印章偽造の罪
 この章は、公務員の印章等を偽造する公印偽造罪(刑法165条1項)などを規定しています。

第十九章の二 不正指令電磁的記録に関する罪
 この章は、サイバー犯罪において非常に重要な不正指令電磁的記録作成等罪(刑法168条の2)などを規定しています。
刑法168条の2第1項(不正指令電磁的記録作成及び提供罪)
正当な理由がないのに、人の電子計算機における実行の用に供する目的で、次に掲げる電磁的記録その他の記録を作成し、又は提供した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。


第二十章 偽証の罪
 この章は、偽証罪(刑法169条)や虚偽告訴罪(刑法172条)などを規定しています。

第二十二章 わいせつ、強制性交等及び重婚の罪
 この章は、サイバー犯罪でも非常に重要なわいせつな電磁的記録に係る記録媒体を頒布するわいせつ物頒布罪(刑法175条1項)などを規定しています。
刑法175条(わいせつ物頒布罪)
わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、2年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。


第二十三章 賭博及び富くじに関する罪
 この章は、賭博罪(刑法185条)などを規定しています。

第二十四章 礼拝所及び墳墓に関する罪
 この章は、礼拝所不敬罪(刑法188条1項)、死体損壊等罪(刑法190条)などを規定しています。

第二十五章 汚職の罪
 この章は、公務員が賄賂を収受するなどの収賄罪(刑法197条1項前段)などを規定しています。

第二十六章 殺人の罪
 この章は、殺人罪(刑法199条)、殺人予備罪(刑法201条、自殺関与罪(刑法202条前段)などを規定しています。

第二十七章 傷害の罪
 この章は、傷害罪(刑法204条)、暴行罪(刑法208条)などを規定しています。

第二十八章 過失傷害の罪
 この章は、過失傷害罪(刑法209条)、業務上過失致死傷罪(刑法211条前段)などを規定しています。

第二十九章 堕胎の罪
 この章は、堕胎罪(刑法212条)、不同意堕胎罪(刑法215条1項)などを規定しています。

第三十章 遺棄の罪
 この章は、遺棄罪(刑法217条)、保護責任者遺棄等罪(刑法218条)などを規定しています。

第三十一章 逮捕及び監禁の罪
 この章は、逮捕罪(刑法220条前段)、逮捕等致死傷(刑法221条)などを規定しています。

第三十二章 脅迫の罪
 この章は、脅迫罪(刑法222条1項)、強要罪(刑法223条1項)などを規定しています。

第三十三章 略取、誘拐及び人身売買の罪
 この章は、未成年者略取罪(刑法224条前段)、身の代金目的略取罪(刑法225条の2第1項前段)などを規定しています。

第三十四章 名誉に対する罪
 この章は、名誉毀損罪(刑法230条1項)、侮辱罪(刑法231条)などを規定しています。

第三十五章 信用及び業務に対する罪
 この章は、信用毀損罪(刑法233条前段)、威力業務妨害罪(刑法234条)、電子計算機損壊等業務妨害罪(刑法234条の2)などを規定しています。

第三十六章 窃盗及び強盗の罪
 この章は、窃盗罪(刑法234条)、強盗罪(刑法236条)などを規定しています。

第三十七章 詐欺及び恐喝の罪
 この章は、詐欺罪(刑法246条)、サイバー犯罪で重要な電子計算機使用詐欺罪(刑法246条の2)などを規定しています。

第三十八章 横領の罪
 この章は、横領罪(刑法252条1項)、遺失物等横領罪(刑法254条)などを規定しています。

第三十九章 盗品等に関する罪
 この章は、盗品譲受け罪(刑法256条1項)などを規定しています。

第四十章 毀棄及び隠匿の罪
 この章は、私用文書等毀棄罪(刑法259条)、器物損壊等罪(刑法261条)などを規定しています。
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