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九十九電機が販売一時中止 譲渡担保権について [法律]

九十九電機が集合動産譲渡担保権の実行により営業を一時中断しています。

http://plusd.itmedia.co.jp/pcuser/articles/0811/21/news083.html


以下、ものすごく複雑な集合動産譲渡担保権についての解説をしてみます。
長文なので、興味がある人は、腰を据えてどうぞ…w。



譲渡担保について

譲渡担保権とは、条文はありませんが、担保となる目的物に、債権についての担保権を設定し
担保権を設定した者、すなわち持ち主に占有させるもので、条文のある抵当権に似ています。


つまり、条文はないですが、商慣習法上必要だし特定があれば当事者にとって
不都合はないから、認められるのです(必要性と許容性の要件を満たす)。

#ちなみに条文のある質権は、質権者、すなわち、質権をつけた人である債権者が占有を取得します。


例えば、AがBさんに100万円を貸しているので、Bさんは、Aさんにその100万円の担保として
宝石をAさんに譲渡したように契約をして、宝石を担保にするけど、宝石はBさんが
持っているというものです。


これを占有改定といいます。

で、債権の履行期が来たのに、弁済しない、つまり、上記の例だと100万円を返してくれないので、
譲渡担保権を行使して、宝石を誰かに処分することができます。


ただし、その宝石の価値が100万円ならAさんは債権が回収できていいのですが、200万円の場合、
債権者が得をするので、100万円分を返せとBさんは言えます。


そして、占有はまだBさんにあるので、Bさんは100万円をくれるまで、宝石を渡さないと主張できます。

これが譲渡担保権の流れです。

条文はありませんが、商慣習法上必要のため、認められています。


集合動産譲渡担保権は、、

複数の動産を一括して譲渡担保権とすること

です。


集合動産の譲渡担保が認められるかについては、いろいろと問題があるのですが、

判例 「『構成部分の変動する集合動産』についても、その種類、所在場所及び量的範囲を
指定するなどなんらかの方法で目的物の範囲が『特定』される場合には、一個の
集合物として譲渡担保の目的となりうる(最判昭54.2.15)。」


としており、特定性の問題が解決すれば、譲渡担保権の目的物とし得るとしています。

ここで、目的物は原則として債務者の所有物である必要があります。


しかし、抵当権者は担保権を取得するのであるのに対し、判例は担保権者は
所有権を取得するとしています。

一般的な見解は、担保権設定であるから、担保権しか取得し得ず、所有権は
取得し得ないとしています。



この所有権を取得するか、担保権を取得するかは、以下の点で問題になります。


集合動産に先取特権が付与されている場合です。


動産を売った人は、特定の動産について代金の担保として先取特権という担保権が
法律上当然に発生します。


例えば、Aという商品の販売会社Xが売買代金を回収するために先取特権者となり、
BというXが販売していない商品の上に先取特権が生じる場合です。


この先取特権を行使すれば、差し押さえができ、Aという商品の売買代金を回収できます。


しかし、その目的物について民法333条の第三取得者が存在すれば、先取特権を
主張できません。

すなわち、第三取得者とは、所有権を取得した第三者、すなわち今回は
譲渡担保権者であるNECリース株式会社です。

これは、動産の先取特権は、他の人たちに公にする方法がないため、
第三取得者が取得すれば、取引の安全を守るために、第三取得者を
保護するものです。


これを難しくいうと、先取特権の追及力を否定し、動産の取引の安全を
図ったといいます。


さきほどの譲渡担保権者が所有権者となると、第三取得者になります。

一方、譲渡担保権者が担保権を取得するのみで、所有権を取得しないと
第三取得者にならないのです。


このような違いが生まれます。


今回の件とは話が反れました。


ふぅー。法律ってやつは難解です。
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