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3Dプリンタの事件 [法律]

今回のわいせつ電磁的記録頒布罪の件です。

http://www.bengo4.com/topics/1791/

「しかし、3Dプリンタは、HDDやビデオテープに比べると、まだまだ普及していません。今回データを受け取った人たちも、プリンタを持っていない人が多いのではないでしょうか。したがって、『容易に再生できる』とは言いづらいと思います。」

受領者ら≒3Dプリンタを持っていない人が多い=容易に再生できるとは言えない。

この流れはどうかな?と思います。

受領する人は、3Dプリンタを持っていた、あるいは入手しようとしていたから受領することを希望したのだと思われます。



それよりもどちらかと言えば、

・表現の自由の保障で押す(わいせつな表現への制約の合憲性判定基準の強度を設定する内容によってどちらに転ぶか難しいです)

・データからわいせつなものへの再現性が低い(3Dプリンタの性能面等)から、判例のいう
「徒に性欲を興奮又は刺激せしめ、且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義に反するもの」
に当たらない

という方向が良いような気がします。



刑法175条
1項
わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。

2項
 有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。




今回の事案は、175条1項後段です。

データの配布ということは、メールか特定のWebサイトにアップロードしたものだと思います。まさか、USBメモリやDVD、CDを直接配布するとは思えません。


今回のデータが「電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録」に当たるかどうかがかなり重要になると思います。



さて、もう一つ、不当だとして逮捕、勾留に対する国家賠償請求ができるか、です。

おそらくできないと思います。

逮捕については、その違法は勾留請求時にチェックするという建前になっており、逮捕に対する違法への国家賠償請求はまず認められないでしょう。今回のは明らかに違法だといえるほどの逮捕では無いからです。

勾留についても、準抗告が認められ釈放されており、『勾留の必要性が無くなった』からだと思われますので、勾留自体の違法性とまでは言えないと思います。

ただ、勾留に対する準抗告が何をもって認められたのかは不明ですので、それが明らかになれば話は変わってきます。
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