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内定取消し [法律]

興味深いニュースがありました。


「「銀座でバイト」が原因で「局アナ内定」を取り消された女子大生が日本テレビを訴えた」

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141110-00041014-gendaibiz-soci

「「笹崎さんが、母親の知り合いが経営する銀座の小さなクラブで短期間アルバイトをしていたこと」が影響して、日本テレビ側が「内定取り消し」を決めたようだ。

笹崎さんが、裁判に踏み切るまで、「夜のクラブでのバイトがアナウンサーにふさわしくないのか」「このバイト歴を就職活動時の自己紹介シートに書かなかったのは内定取り消しの理由になるのか」など、日本テレビの人事部側と何度も話し合ったようだ。」


内定とは、始期付解約権留保付労働契約という考え方が判例
(最小判S54.7.20 大日本印刷事件)

この女性は、労働者としての地位確認訴訟を求めているようです。すなわち、内定取り消しを無効として、内定の地位を確認し、来年4月に働くことができる地位の存在を確認することです。


今回の内定の取消しが有効かどうかは、解雇権濫用法理(労働契約法16条)によって、

1 客観的合理性
2 社会的相当性

がなければ内定取り消しは無効とされています。


判例は、
「採用内定の取り消し事由は、採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実であって、これを理由として取り消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして、客観的に合理的で社会通念上相当として是認できるものに限られる」
(大日本印刷事件)



本件が問題となるのは、採用前の出来事であるし、採用当時に知ることが期待できない問題です。

そして、日本テレビ局のアナウンサーともなれば、かなり週刊誌等が注目する人物であるため、銀座の夜のクラブをしていたのであれば、様々な噂や営業が存在し、今後、様々な情報がリークされる危険性があり得ます。

そうであれば、銀座の夜のクラブでバイトしていたのであり、それが今後リークされ、様々な負の情報が記事となれば、テレビ局側としても人事採用担当者としてもかなり痛手を被る可能性は否定できません。

※取消が正当の場合
よって、このような理由をもって留保されていた解約権を行使したとしても、客観的に合理性があると言えると考えられます。

※取消が不当の場合
ただ、そうだとしても過去にこのような負の情報によってテレビ局側が損害を被った事実は無いし、人事採用担当者が損害を被った事実も無いため、可能性にすぎず、また、これによってアナウンサー業務に支障を来すとまでは言えないと考えられます。

よって、このような理由をもって留保されていた解約権を行使したことは、客観的に合理性があるとは言えないと考えられます。そのため、違法です。


※取消が正当の場合
また、他に内定者からの申告や実情を宣伝したとしても、銀座の夜のクラブで働いていたという事実は消えないため、解約権を行使する以外方法は無いともいえそうです。

よって、解約権を行使したとしても、社会通念上相当ではないとはいえなさそうです。
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