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3Dプリンタの事件 [法律]

今回のわいせつ電磁的記録頒布罪の件です。

http://www.bengo4.com/topics/1791/

「しかし、3Dプリンタは、HDDやビデオテープに比べると、まだまだ普及していません。今回データを受け取った人たちも、プリンタを持っていない人が多いのではないでしょうか。したがって、『容易に再生できる』とは言いづらいと思います。」

受領者ら≒3Dプリンタを持っていない人が多い=容易に再生できるとは言えない。

この流れはどうかな?と思います。

受領する人は、3Dプリンタを持っていた、あるいは入手しようとしていたから受領することを希望したのだと思われます。



それよりもどちらかと言えば、

・表現の自由の保障で押す(わいせつな表現への制約の合憲性判定基準の強度を設定する内容によってどちらに転ぶか難しいです)

・データからわいせつなものへの再現性が低い(3Dプリンタの性能面等)から、判例のいう
「徒に性欲を興奮又は刺激せしめ、且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義に反するもの」
に当たらない

という方向が良いような気がします。



刑法175条
1項
わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。

2項
 有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。




今回の事案は、175条1項後段です。

データの配布ということは、メールか特定のWebサイトにアップロードしたものだと思います。まさか、USBメモリやDVD、CDを直接配布するとは思えません。


今回のデータが「電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録」に当たるかどうかがかなり重要になると思います。



さて、もう一つ、不当だとして逮捕、勾留に対する国家賠償請求ができるか、です。

おそらくできないと思います。

逮捕については、その違法は勾留請求時にチェックするという建前になっており、逮捕に対する違法への国家賠償請求はまず認められないでしょう。今回のは明らかに違法だといえるほどの逮捕では無いからです。

勾留についても、準抗告が認められ釈放されており、『勾留の必要性が無くなった』からだと思われますので、勾留自体の違法性とまでは言えないと思います。

ただ、勾留に対する準抗告が何をもって認められたのかは不明ですので、それが明らかになれば話は変わってきます。

公認サークルに対する学校の責任 [法律]

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1406/24/news120.html
今回の新宿コマ劇前の集団昏倒事件


公認サークルであれば、大学側に監督責任が発生する可能性があります。
すなわち、今回のような事態が発生することを予見できたかどうかといった可能性などです。

もし今回何らかの生命、身体に関わる事故であれば、損害賠償請求できる可能性もありえます。



http://www.meiji.ac.jp/campus/circle/index.html

明治大学の公認サークルの話が記載してありました。

「公認サークルは、教室の利用、部室の利用(新規の受付については未定)、各種助成金、情報基盤サービスの利用等、大学からの様々な便宜供与が受けられます。」


1.飲酒事故防止
① 未成年の飲酒は禁止。
② 『イッキ飲み』はしない、させない。
③ はやす、あおる等の行為を含め、他者に飲酒を強要しない。
④ グループで飲酒する時は、他者にも気を配る。もし誰かが酔いつぶれた場合は、絶対にひとりにせず、付き添って介抱し、必要に応じ救急車を要請する等の処置を行う。

との規定があります。今回、飲酒事件であれば、これに違反していた可能性があります。

3.課外活動中に事故が発生した場合
(略)
(2)学外での事故の場合
  事態が深刻な場合は、ためらわずに救急車(119番)を要請してください。
(略)

これが今回徹底されていたのでしょうか。

明治大学公認サークル登録取扱要領を見てみます。

2条の資格、6条の仮承認、7条の本承認規定がおかれ、規定上は届出ではなく、厳格にしていると考えられます。
もっとも、実質的に申請すれば承認されている運用だったかどうかは不明です。

8条は、仮承認の取消しを規定し、活動報告を義務付けています。
14条(4)は、不祥事が発生し、又は不正行為を行った場合、(6)は、その他本学が後任の取消しに相当すると認めた場合に、処分することができ、処分内容は、便宜供与の停止又は制限、活動の停止又は制限、後任の取消しがあります。


これらのことから、規定上はかなり厳格に公認が認められ、その見返りとして、教室の利用、部室の利用、各種助成金、情報基盤サービスの利用等が受けられることになっています。


学校側も活動報告の義務などを設けており、管理・監督ができていたと考えられます。そして、このような活動を黙認しているのならば、かなりの重い過失が認められると考えられます。

遠隔操作事件の懲役刑の最高 [法律]

遠隔操作事件の最高刑はどのくらいか。

今回、起訴状では「ハイジャック防止法違反と威力業務妨害、偽計業務妨害の罪」とのことですので、この公訴事実が認められたとして検討してみます。



威力業務妨害罪
刑法第234条
「威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。 」

偽計業務妨害罪
刑法第233条
「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。 」

航空機の強取等の処罰に関する法律
第4条
「偽計又は威力を用いて、航行中の航空機の針路を変更させ、その他その正常な運航を阻害した者は、1年以上10年以下の懲役に処する。 」


これで、
威力業務妨害罪が懲役3年以下
偽計業務妨害罪が懲役3年以下
航空機の強取等の処罰に関する法律違反が懲役1年以上、10年以下
の懲役。



前科が2005年に逮捕とはありますが、いつ懲役刑が言い渡されたかは不明なので再犯かどうかは場合分けをしてみます。



◎再犯加重がある場合
刑法第56条
「懲役に処せられた者がその執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に更に罪を犯した場合において、その者を有期懲役に処するときは、再犯とする。」

さて、刑の加重減軽をするには、順番があります。

刑法第72条
「同時に刑を加重し、又は減軽するときは、次の順序による。
1 再犯加重
2 法律上の減軽
3 併合罪の加重
4 酌量減軽」

刑法第57条
「再犯の刑は、その罪について定めた懲役の長期の二倍以下とする。 」

再犯加重の場合、まず、いずれの刑も2倍します。

威力業務妨害罪が6年以下
偽計業務妨害罪が6年以下
航空機の強取等の処罰に関する法律違反が1年以上、20年以下


次に、減軽が無いとすれば、併合罪加重です。

刑法第47条
「併合罪のうちの二個以上の罪について有期の懲役又は禁錮に処するときは、その最も重い罪について定めた刑の長期にその二分の一を加えたものを長期とする。ただし、それぞれの罪について定めた刑の長期の合計を超えることはできない。 」


そうすると、最も重い罪が

航空機の強取等の処罰に関する法律違反が1年以上、20年以下

であり、これに長期の20年以下の二分の一である10年を加えて
懲役1年以上、30年以下

但し書きを検討すると、他の罪が6年以下なので、合計すると20年+6年+6年=32年。合計を超えていませんね。
30年<32年なので、但し書きの適用はありません。



おまけとして、そもそも32年が最大じゃ?とも思えますが…、

刑法第14条
「死刑又は無期の懲役若しくは禁錮を減軽して有期の懲役又は禁錮とする場合においては、その長期を三十年とする。
有期の懲役又は禁錮を加重する場合においては三十年にまで上げることができ、これを減軽する場合においては一月未満に下げることができる。」

があるため、30年を超えることはできません。



以上から、

懲役1年以上、30年以下

が刑の加重の範囲になります。

ここに法律上の減軽(心神耗弱など)があれば、併合罪の前に半分になり、さらに、酌量減軽があれば、全体の半分になります。



◎一方、再犯加重が無い場合は、
威力業務妨害罪が3年以下
偽計業務妨害罪が3年以下
航空機の強取等の処罰に関する法律違反が1年以上、10年以下

併合罪を適用して、

懲役1年以上、15年以下
(10年+5年=15年<⒑年+3年+3年=16年)

になります。



こんなにややこしい、法定刑。

ミスがあればご指摘願います。

某店の虚偽の説明 [法律]

http://hunter-investigate.jp/news/2014/04/post-476.html

紳士服の店のひどい話。

さて、これは刑法でいう詐欺罪なのでしょうか?

今回の問題は、通常価格と言われその価格で買おうとしている女子学生がいて、断って帰ってくることもできたという点です。

結論は、成立にはかなり難しいのでは?と思いました。


強引に有罪に持っていくための検討をしてみました。
せっかくなので要件の確認と当てはめ。

店側の立場とすれば、
虚偽の説明ではあったが、女子学生は通常価格でも構わないと思い購入しているのであるから、契約は成立している。
格安でなければ買わないとの主張がなかった。
虚偽の説明をしたことと、通常価格で購入すると決めたのは、直接の因果関係が無い。
などと反論するでしょう。


条文
刑法246条1項
1、人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

2項詐欺は詐欺利得罪であり、今回は異なるため、検討外とします。

一般的な構成要件は、
欺く行為、相手方の錯誤、錯誤に基づく財物の処分、財物の占有移転



まず前提として客体
財物とは、他人が占有する他人の財物をいう。
今回は、金銭が対象なので財物に当たります。



■詐欺罪
人を欺く行為を行い、これによって錯誤が惹起され、錯誤に基づいた交付行為があり、交付行為による財物の移転があり、これらが相互に因果関係が必要となる。

そのため、錯誤がなければ交付行為を行わなかったであろうというような重要な事実に関することが必要。

■錯誤
錯誤は、自己の認識と事実が不一致になっていることである。

■交付行為
錯誤により生じた瑕疵ある意思に基づいて、財物が交付される必要がある。




●あてはめ
今回、女子学生は、「印刷物にあった《フレッシャーズ限定 スーツも揃う》と謳った「19,000円」の5点セット」の安売りがされていると思い、店を訪問。
スーツを選択し、いざ支払いをしようとしたところ、43,640円の請求。

店側は、女子学生に「5セットはもう出た」と説明し、そのため女子学生は通常価格での販売しかされないと思い込み、支払う意思になったものと考えられる。

すなわち、ハガキを見た学生がスーツセットを買いに来て、まだ5セット売れていないにもかかわらず出ていると店側は説明している。店側は、このように虚偽の説明をしており、「人」である女子学生に対して欺く行為をしている。

また、学生は、店側の説明を信じ込み、本来19,000円という安い価格で買えるのに、通常価格で支払わなければならないと思い込んでおり、錯誤に陥っている。

そして、通常価格を支払わなければならないという瑕疵ある意思に基づいて、金銭を支払おうとしている。

ここで、学生は、通常価格なら支払わないと断ることができたとも思える。

しかし、
・学生は店側の説明を信じ込み、格安で買えることはできなくなったと思い込んでいること
・学生であり、それほど社会経験も乏しく、店側が虚偽の説明をするとは考えていないこと
・入学式を数日前に控えていることから時間も迫っていること
・選択した時間がもったいないと考えること
・女子学生自身がハガキと違うと思っても言えなかったこと
・あるいは、女子学生自身がハガキの小さな文字を見落としたかもしれないと思っていたこと
・スーツを選択したのに支払わなければ、店の人に迷惑が掛かるとも思ったこと
などから、通常価格であっても仕方なく支払う意思になったものと考えられる。

そして、店側の欺く行為を知り錯誤が無ければ、すなわち、通常価格で購入しなくても良いことを知っていれば43,640円で買わなかったであろうから、重要な事実に関して錯誤があり、錯誤と交付行為に因果関係が認められる。

女子学生は、金銭を支払っておらず、財物の処分、占有移転が無いため、詐欺未遂罪(246条、250条)が成立。


■問題
・重要でない事実に関する錯誤を惹起するにすぎない行為は詐欺罪否定
判例:大判大正8年3月27日
事案:商品の名称を偽ったが、品質・価格などには変わりがなく、買主は自己の鑑識をもって買い受けた事案

・虚偽の説明がされているが、通常価格は本来の値段であり、またその値段で買う必要は必ずしもなかったこと。

・女子学生は、通常価格を知った段階で問い質す余地があったこと。






◎民事系で考えると、

錯誤に陥っている(民法95条本文)

詐欺にあっている(民法96条1項)

債務不履行解除

があります。


民法95条
意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。

民法96条1項
詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。





判例は、錯誤と詐欺が競合するときは、錯誤が優先するとしています。

錯誤無効を考えてみます。

要素とは、意思表示のために重要な事柄であって、当該錯誤がなければ通常一般人ならば意思表示をしなかった関係にあれば良いとされています。
錯誤は、動機の錯誤が問題になるが、内心の問題であっても明示または黙示の動機が示されていれば錯誤に当たる。

女子学生は、ハガキを持って行っており、店側からも5セットは売れたと説明されているが、19,000円の格安のセットを購入したいとの動機を有していたことは店側は知りえたといえ、動機の

そして、今回の女子学生には、店側に問い質さなかった、断れたのに断らなかったなどの軽微な過失はあったかもしれないが、重大な過失とはいえない。

よって、店側の虚偽の説明により、女子学生に錯誤があり、無効主張できる。





債務不履行解除の場合は、事前の説明が虚偽であり、説明義務違反があったといえます。

そして、女子学生が購入しようとしている段階であり、契約が間近に迫っていたことから、この2~3着しか売れておらず19,000円で買うことができたとの説明義務は必要であったにもかかわらず、虚偽の説明をしたことによって、通常価格で契約したのであり、契約締結前の過失というより、害意があったといえ、債務不履行があったといえます。

よって、債務不履行解除ができ、損害賠償請求をすることが可能です。

試験 [法律]

久しぶりの書込み。


試験に通って、色々な方からお祝いの言葉をいただきました。
嬉しかったです。



関係ないですけど、Jim Hall氏が亡くなったそうです。

パットメセニーとの名演のCDは今も手元にあります。

ご冥福をお祈りします。

Jim Hall氏死去

国民審査 [法律]

最高裁判所裁判官の国民審査が明日の投票日(期日前投票などの場合は既に投票済みの人もいるかと思いますが)に行われます。


この制度は、憲法79条2項、3項に基づくもので、最高裁判所裁判官に任命後、初の衆院選で国民審査に付され、罷免の判断を受けます。
なので、前回の衆院選以降に任命された裁判官が対象で、かつ、前回の国民審査に付された時から10年が経過していた人が対象です。


長官が1名、判事14名の15名からなら最高裁判所ですが、そのうち公報を見ると今回は10名が対象です。
10名全員が初の国民審査であり、2度目の国民審査の裁判官はいません。


名前と出身大学を挙げますと、

1 須藤正彦裁判官 中央大学法学部卒
2 千葉勝美裁判官 東京大学法学部卒
3 横田尤孝裁判官 中央大学法学部卒
4 白木勇裁判官  東京大学法学部卒
5 岡部喜代子裁判官 慶應義塾大学大学院修了
6 大谷剛彦裁判官 東京大学法学部卒
7 寺田逸郎裁判官 東京大学法学部卒
8 大橋正春裁判官 東京大学法学部卒
9 山浦善樹裁判官 一橋大学法学部卒
10 小貫芳信裁判官 中央大学大学院修了

です。


http://www.h24syuugiinsen.metro.tokyo.jp/examination/images/kouhou.pdf


判決をした詳細は上記公報に載っていますので、じっくり見るといいと思います。

最高裁判所裁判官の国民審査制度は、解職制度と解されていますが、内閣による任命後の国民審査によって正式に国民にも任命されるとする見解も存在します。

三権分立に対して唯一国民が直接司法に対して物申す制度ですので、しっかり見極める必要があると思います。

リバースエンジニアリング問題 [法律]

数年前から話題になっていたリバースエンジニアリング問題。

まだまだ、議論されている段階です。

http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20412823,00.htm

外国人参政権 長尾教授 [法律]

今、憲法学者で注目を集めている中央大学長尾教授の講義をたまたま聞きました。

長尾教授は、地方についての外国人参政権は憲法上許容するというのを世に初めて論文を排出した方である。


長尾教授は、憲法上様々な権利、権限について、禁止、許容、要請の三段階が存在することをドイツ憲法から導入している。

その中で、地方における外国人参政権は、憲法上許容されるとしていたのである。

していたと過去形なのは、長尾教授自身、あれは誤りだったと述べているからだ。

今度違憲の論文を出すという。

様々な社会情勢、周辺の法制度の影響も相俟って、違憲説、すなわち、禁止とすべき説に改変したそうだ。


これで、外国人参政権が見直されればいいと思う。


早く論文を出していただきたい。


追記
読売新聞に記載がありました。
http://www.yomiuri.co.jp/adv/chuo/opinion/20100215.htm
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100%減資 [法律]

JAL再建でいわれている100%減資とは、
「株式会社の既存の全株主を株主でなくしたうえで、新しい出資者に出資させること」
をいいます。


株式を全部取得条項付株式に変更して、会社が全部取得すれば全株主が株主でなくなりますね。
会社が取得する際に、無償取得できるようにしておけば、株主の株式は価値が0円になります。


減資というから、資本金が0円になることのようも思われますが、昔は株式と資本金が連動していたのでそのように呼ばれるようで、名残みたいなものだそうです。


会社法は、株式の消却は、自己株式の消却しかできないので、いったん会社が引き受けなければなりません。

自己株式として取得した場合、株式の消却を行わなければ、新株発行は自己株式の処分となります。

補償金制度 [法律]

著作権における補償金制度について、面白いことになっていますね。

http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20091110_327985.html
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20091029_325221.html

私はDVDレコーダは2台目で2台とも東芝であるので、東芝にはぜひ頑張ってもらいたい。

以下引用
↓↓↓ここから
------------------------------
「権利者が法の下に与えられている権利を事実上否定して、その上で話し合いを行おうという姿勢が、はたして正当なものと言えるのか。法が存在する以上、法は尊重されるべきであり、将来の制度に対する意見は見直しの議論の中で述べられるべき。これらは明確に区別される必要がある。」(椎名氏)。
-----------------------------
↑↑↑ここまで

今回の製品について法の適用、解釈が争われているのであり、この主張は見当違いじゃないですか?

今まで東芝では、Aという製品で補償金を納めてきたのを今日からいきなり止めるのではなく、Bという製品を開発したが、これに適用されるかは争いがある。だから、納めないという主張ですよね。

明確に区別されるべきなのは、Aという製品についての議論であって、今回のBという製品にはこの主張は当てはまりません。


もともと、私的複製がどんどん膨らんで、著作物権利者の利益が守られなくなっていたことに法の成立過程の趣旨があるとするならば、ダビングの規制が厳格になり、著作物権利者の利益が保護されているといえるようになった現在において、その背景が変わってきている。

とすれば、その立法趣旨に沿わない形になったのが、東芝の主張する非アナログチューナー搭載機器である。


当初の立法においては、その立法目的は正当なものといえるし、その手段も目的を達成するうえで合理的関連性があるといえるでしょう。

しかし、現在においてもその立法目的は正当といえるが、手段という補償金の制度が目的達成のための合理的関連性があるといえるかどうかでしょう。

すなわち、私的複製によって権利者が侵害されてきた利益が補償金によって賄われていたのであれば、デジタルコンテンツを規制できるようになった今、権利者の利益は保護されているといえる。

まずは、このことを東芝が証明すべきでしょう。しかし、ダビング10によってそれは容易に立証できるといえると思います。

それでもなお、権利者が侵害されているというなら、その立証をSARVH側がしなければならないでしょう。
ダビング10などの規制により、侵害は緩和されているが、なお権利者の侵害は現行の補償金制度で賄わなければならないという立証が必要ではないでしょうか。

そもそも、普通に考えて、特殊法人的な団体で天下り団体とみられています。
何もせず金が入ってくる団体の制度であり、事務手数料に何%取られているんでしょうか?
(どこかの記載では40%を団体が取っているとありました。)

こういうことをやめれば、補償金制度が成り立ちつつ、もっと安い補償金にするという歩み寄りも可能だと考えられます。

著作権者達からすれば、SARVHが自動でお金を集めて払ってくれるという構図があるので、SARVHらに賛成するのでしょうが、DVDレコーダや音楽プレーヤーは著作権者の作品を観たり聴いたりしてもらえる媒体であり、彼らメーカーを一方的に非難することは自分らの利益を損なう可能性があることも忘れないでいただきたい。

DVDメディアにも一律に補償金を上乗せし、自分の撮影したホームビデオをメディアにコピーしても補償金が取られていることになっており、それに反対して訴訟しても勝てるが、割に合わないということから消費者は涙をのんでいることも忘れないでいただきたい。


著作権を守ることは非常に大切だと思います。
文化、芸術の発展は、人間の心と体を豊かにします。

ただ、その上にあぐらをかいて、メーカーが悪い、著作権は保護されるべきだとだけ叫んでいては、一番重要な、多くの人々に届けたいという想いが消えてしまうことを忘れないでほしいです。

Winny作者二審無罪判決 [法律]

Winny作者二審無罪判決

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200910080032.html
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/091008/trl0910081115004-n1.htm
http://mainichi.jp/select/today/news/20091008k0000e040019000c.html?link_id=RTH03
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009100800052
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20091008-OYT1T00372.htm
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20091008_winny_47/
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0910/08/news031.html

「被告に積極的な著作権侵害の意思はなく、ほう助罪は適用できない」

故意がないのか、違法性の意識の可能性がなく責任故意がなかったのか、どちらの認定かちょっと分からないです。

一審では、概括的な故意、意図、認識、認容が広すぎるため、幇助犯(従犯)の処罰範囲が広すぎると思われていました。
これと同じく、幇助犯には積極的な故意が必要ということだと思います。


これで、地裁レベルの認定は甘いということがわかりました。


さて、この二審では、技術云々で争っておらず、上記した構成要件的故意または責任故意のいずれかに欠ける点を争っています。

にもかかわらず、この判決に対して、まだ車や包丁、マイクロソフトなどの例えを出す人が散見されますが、そこは争点になっていないことに注意しないといけないですね。


一審の客観的事実
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20070420/269127/
一審の主観的事実
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20070508/270239/?ST=slfkng

外国人に参政権付与することについて [法律]

外国人に地方参政権を付与することについて、以前から疑問に思っていました。

なんで必要なの??と。


どうなる在日参政権 民主は公約見送りなのか
http://www.excite.co.jp/News/society/20090722/JCast_45845.html

永住外国人への地方参政権付与 「反対」圧倒的な9割超
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090827/plc0908271948002-n1.htm



民主党の大躍進によって、衆議院議員選挙は終わりましたが、民主党は以前、永住外国人に地方参政権付与を意欲的としていました。

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080312/plc0803120043001-n1.htm


しかし、公約からは党内の意見がまとまらず、除外していました。

これを改め、また永住外国人への地方参政権付与を言い出さないか不安です。



そもそも、参政権は国民固有の権利であり、権利の性質説を採る限り、外国人に認めることはできないはずなのです。
有名な判例を根拠に地方参政権は法律でも可能と述べたのも、矛盾する内容ではないかといわれています。

すなわち、地方自治における住民は日本国籍を持つ住民であると述べているからです。

もっとも、これを、
・憲法上は住民は日本国民だけに限定する限定説
・憲法上は日本国民にのみ保障するけど、日本国民にのみ限定するのではなく、日本国民以外に地方参政権を立法政策上認めてもよいとする許容説
・日本国民以外に地方参政権を立法政策上認めることが要請されているとする要請説
があります。

禁止説が通説ですが、判例は許容説に立ったといわれ、現在も有力説となっています。



しかし、永住外国人であっても帰化すれば参政権を付与されるため、参政権を付与してほしい方は、帰化をすればいいはずなのです。

条件が厳しくて帰化ができないというならば、なぜ、それを声高に訴えないのでしょうか?


なぜ、国籍国の参政権もあるのに、在住している国の参政権も付与せよといっているのでしょうか?
その国の内政干渉ではないのでしょうか?



日本でも外国に在住している日本人は、国政選挙ではありますが、選挙権を行使できなかったため国家損害賠償が認められたという有名な判例から、先日の衆議院選挙では、外国からの選挙ができるように在外選挙が色々と改正され施行され、実施されました。
http://www.soumu.go.jp/senkyo/hoho.html

以下抜粋
「国外に居住する日本人の方に国政選挙の選挙権行使の機会を保障するための公職選挙法の一部改正法案(在外選挙法案)が平成10年5月6日に公布され、在外選挙人名簿の登録に関する部分が平成11年5月1日から、在外投票に関する部分が平成12年5月1日から、それぞれ施行されました。
その後、投票方法について、在外選挙人が、在外公館投票と郵便投票を選択することができるようにするための公職選挙法の一部改正法が平成15年6月11日に公布され、平成16年4月1日から施行されました。
また、1)在外選挙の対象となる選挙の拡大及び2)在留届の提出時などにおける在外選挙人名簿への登録申請を可能にすることを内容とする公職選挙法の一部改正法が、平成18年6月14日に公布され、1)については平成19年6月1日、2)については平成19年1月1日から施行されることになりました。」


これが本来の参政権のあり方だと思います。
国籍国にのみ、国政なり地方なりの参政権(選挙権)を持つことが。



よく税金を納めているからという理由がありますが、税金を納めているのはその土地で生活する上での行政サービスの対価等に値するものであり、そもそも参政権の条件として税金納付とすることは14条1項、15条3項の憲法違反になります。


税金納付を条件とするなら、どの税金を対象としているのか不明であるのですが、消費税なら旅行外国人も納めていますので、旅行してきた外国人や仕事で在住している永住権のない外国人も参政権を付与しないとおかしくなります。
住民税が対象なら、住民税を支払っていないもしくは支払えない人たちは、選挙権がはく奪されるのでしょうか?
逆に未成年であっても働いている者で税金納付者は、参政権が認められないとおかしいことにならないでしょうか?

これらのことから、税金の納付は関係がないことが分かります。



強制連行の話を持ち出すこともよく聞きますが、実際は強制連行と在日の方は違うという意見もありますし、傾聴に値します。
http://www.google.co.jp/search?q=%E5%BC%B7%E5%88%B6%E9%80%A3%E8%A1%8C
http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/daiyonjuuhachidai
http://makizushi77.hp.infoseek.co.jp/SEIKATUHOGO.htm


そもそも強制連行があり、その方たちでしたなら、北朝鮮にいる拉致被害者を日本が返還せよというように、在日の方も本国からの返還要請があるはずではないでしょうか?

過去にありましたでしょうか?

そのような要請は聞いたことがないのですが、どうなっているのでしょうか?
その話がないのでしたら、本国からは強制連行とみなされていないからではないのでしょうか?


強制連行されて日本にいるしかないというなら、日本に帰化しないのはナゼなのでしょうか?
通名制度によって、日本名を名乗れるのですが、それではどうして帰化しないのでしょうか?

上述のように帰化が厳しいなら、まずはそこを改正しようとしないのはナゼなのでしょうか?
本国へ帰国しないのはナゼなのでしょうか?帰国したくないのでしょうか?


日本に生活することを前提に参政権付与を主張していますが、逆に帰国するための手立てをしろとはどうして言わないのでしょうか?

韓国、北朝鮮で生活するための支援をしろとはどうして言わないのでしょうか?



本来、国籍がある人は、その国籍国に生活支援なり、援助なりを求めるのが筋であると思います。



永住外国人の一部の方は、現状どのような不利益があるから、参政権を付与せよというのでしょうか?
どのくらいの人たちが望んでいるのでしょうか?

そのあたりがよく分かりません。


何かを虐げられているのでしょうか?
税金が高いのでしょうか?
不当な扱いを受けているのでしょうか?
改善する必要があるなら、どのような内容でしょうか?
逆に永住外国人ということで有利な扱いを受けていないのでしょうか?


マスコミは、色々なことを多角的に報道すべきなのだが、こういうことに対しては情報を絞りすぎだと思います。

微妙な問題だからこそ、考慮するための情報提供をすることが、表現の自由の本来の役割のはずです。

一方的な意見では、真相は見えてこないです。




数年前に、三重県伊賀市で、在日の方を対象に市民税減免措置を講じたのではないかという疑問が湧き上がり、それに対する市からの回答というのがありました。
http://www.city.iga.lg.jp/kbn/80011/80011.html



違法収集証拠排除法則 [法律]

違法収集証拠排除法則について調べてみましたので、記述しておきます。


違法収集証拠排除法則とは、刑事手続において違法な手続によって収集された証拠に証拠能力は認められないとする原則です。

証拠能力が認められるには、検察官が立証しようとしている事実と関連しますが、概ね
その証拠が立証しようとしている事実と関連があるかという①自然的関連性
証拠の価値が高いため誤判を防止する必要があることから政策的に排除されるものでないことという②法律的関連性
違法な手続による証拠ではないという③証拠禁止でない
ことを満たせば認められます。


違法収集証拠排除法則は、③の証拠禁止に当たるかどうかが問題になります。


違法収集証拠排除法則は明文はありません。
そのため、判例の積み重ねで成り立っています。

本来、違法に収集されたとしても証拠の価値は変わりません。
しかし、このように収集された証拠を事実の認定のための証拠(刑訴法317条)として採用することは、司法に対する国民の信頼を害します。

すなわち、違法な証拠で有罪にするのを認めることは、裁判所は違法な手続きを推奨しているんじゃないのか、と国民は考えるでしょう。


そこで、証拠の価値には変わりありませんが、違法な証拠であれば証拠として採用することを否定する必要があります。

憲法は適正手続を要請し(憲法35条)、違法な手続きで収集された証拠を排除する必要があります。

しかし、違法であれば常に証拠を排除するならば、真実発見の要請(刑訴法1条)、すなわち犯罪者を罰することができず、他の証拠から認定する必要があるため、取調が厳しくなったり、自白獲得に躍起になったりして、糾問的捜査の危険があります。

そこで、令状主義(憲法33条、35条、刑訴法218条1項等)の精神を没却するほどの重大な違法があり、証拠を排除することが将来の違法捜査を抑制するために相当と認められるならば、証拠能力を否定します。


このことから、司法の廉潔性維持と将来の違法捜査抑制のため、

令状主義の精神を没却する重大な違法
証拠の排除が将来の違法捜査を抑制するために相当といえるかどうか

を要件としています。


この要件は、令状主義の精神を没却する重大な違法があれば絶対的に排除し、
そうでもない場合には、排除相当性を考慮するのか、
重大な違法であっても排除が相当な場合にのみ排除するのか争いがあります。

裁判員制度 [法律]

裁判員制度がスタートしました。

何件か裁判員裁判の事件が発生しているようです。


実際に始まると、まだまだ色々な懸念が考えられます。

・偽物裁判員(郵便受け荒らしから横取り)
・居留守を使い、郵便を受け取らない
・守秘義務違反
・遅刻、欠席

この辺の問題はどうなんでしょうか。

アメリカではどのように運用されているかよく知らないので、疑問です。

ライブドア株主訴訟 堀江元社長らに76億円支払い命令 [法律]

ライブドア株主訴訟 堀江元社長らに76億円支払い命令

http://www.asahi.com/national/update/0521/TKY200905210233.html

莫大な金額ですね。

任意処分と強制処分 [法律]

刑事訴訟法の基本的事項の一つ、任意捜査と強制捜査(任意処分と強制処分)の区別の基準について。


強制処分法定主義(刑訴法197条1項但書)において、強制処分を行うには、法定されたものでなければなしえないもののこと。

これは、憲法33条、35条を具体化したものであり、令状主義に基づく。

これにより、司法による事前審査を可能とし、捜査による人権侵害の抑制を図る。

そして、強制処分であれば、法の根拠が必要であるが、任意処分であれば不要である。

そこで、強制処分と任意処分の区別をいかなる基準で画するかが明文上明らかでなく問題となる。

判例は、
「強制手段とは,有形力の行使を伴う手段を意味するものではなく,個人の意思を制圧し,身体,住居,財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など,特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない手段を意味するものであって,右の程度に至らない有形力の行使は,任意捜査においても許容される場合がある」
最決昭和51年3月16日刑集30巻2号187頁(刑事訴訟法判例百選第8版1事件)

としており、有形力行使の有無ではなく、意思を制圧し、身体、財産等に制約を加え、強制的に捜査目的を実現することである。

学説では、被処分者の意思に反して、重要な権利侵害を伴うものを強制処分といったりする。


もっとも、意思に反して、重要な権利侵害を伴わないからといって、どんな捜査手法でも任意処分になるわけではない(刑訴法197条1項本文、捜査比例の原則)。

任意処分を行う必要性及び緊急性を要求し、具体的状況の下で手段が相当であるかどうかにより判断すべきであり、これらを満たさなければ、違法となる。


これを図式化すると、

強制でもあり得ない処分>強制処分>違法な処分>任意処分

左が権利侵害が強い
右が権利侵害が緩やか

#強制でもあり得ない処分とは、奴隷的拘束、拷問など。

そして、強制処分なら、法定の根拠(基本的には、逮捕、捜索・差押、検証、鑑定処分許可状)が必要である。

#令状が不要な強制処分もあり得る。
#現行犯逮捕、逮捕に伴う捜索・差押など


任意処分なら令状は不要。
法定されているものもある。

#職務質問

証明の程度 [法律]

証明の程度は三段階存在する。

確信:合理的な疑いを生ずる余地のない程度に真実であるとの心証
証拠の優越:肯定証拠が否定証拠を上回る程度の心証
疎明:一応の蓋然性が認められるという心証


証明にも三段階存在する。
厳格な証明
自由な証明
疎明
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取調時の警官備忘録も開示命令 [法律]

昨年平成19年12月25日に問題となった証拠開示請求の事案について。

詳細は下記参照。
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=35535&hanreiKbn=01


これは、公判前整理手続及び期日間整理手続における証拠開示についての裁判です。

もともとこの制度は裁判員制度の導入に伴い、規定されました。

その理由として、裁判員制度によって一般人が刑事裁判に関与してくるため、
公判を長期間ではなく、短期間で行う日盗用があり、公判の審理を充実かつ
効率的にしなくてはならないことから、両当事者の意見を聴いて、決定で
裁判所が行うことができるものです。

ここにこの制度の目的があり、趣旨があり、証拠開示もこの審理の継続的、
計画的、迅速に行うことに必要な限りで認められるものだと思います。



事案の概要

自白の任意性を争うことを予定していると主張して、警察官による自白を
強要する威嚇的取調べ、利益提示による自白の誘引等を明示した。

弁護人は、上記主張に関連する証拠として、刑訴法316条の20第1項に
基づき、「被告人に係る警察官の取調メモ(手控え)・取調小票・調書案・
備忘録等」の開示を請求した。

検察官はこれを拒否。

弁護人が裁判所に対して開示命令の請求をした。

東京地方裁判所は、請求は認められないとして棄却。
東京高等裁判所は、請求は認められるとして認容。

最高裁判所は、請求は認められるとして開示命令。


争点は、

1 刑訴法316条の26第1項の証拠開示命令の対象となる証拠は、
 検察官が現に保管している証拠に限られるか

2 取調警察官が犯罪捜査規範13条に基づき作成した備忘録は、
 刑訴法316条の26第1項の証拠開示命令の対象となり得るか



決定について簡単に要約すると

公務員が職務上作成するメモも、捜査機関によって現に保管されているなら、
捜査関係の公文書といえ、検察官において入手が容易なら証拠開示の対象となる。

取調警察官が作成した備忘録等も犯罪捜査規範13条に基づいて作成、保管
されているのであり、検察官は入手が容易であるから、証拠調べとして
関連性があるなら、証拠開示の対象となる。




決定要旨

1 刑訴法316条の26第1項の証拠開示命令の対象となる証拠は、
 必ずしも検察官が現に保管している証拠に限られず、当該事件の捜
 査の過程で作成され、又は入手した書面等であって、公務員が職務
 上現に保管し、かつ、検察官において入手が容易なものを含む。

2 取調警察官が、犯罪捜査規範13条に基づき作成した備忘録であ
 って、取調べの経過その他参考となるべき事項が記録され、捜査機
 関において保管されている書面は、当該事件の公判審理において、
 当該取調べ状況に関する証拠調べが行われる場合には、刑訴法31
 6条の26第1項の証拠開示命令の対象となり得る。


ここで、重要な部分は、証拠開示ができるものとして、

必ずしも検察官が現に保管している証拠に限られず、当該事件の
捜査の過程で作成され、又は入手した書面等であって、公務員が
職務上現に保管し、かつ、検察官において入手が容易
であるものも
含む。

そして、

公務員がその職務の過程で作成するメモについて、専ら自己が使用する
ために作成したもので、他に見せたり提出することをまったく想定しない
ものは、証拠開示命令の対象とするのが相当でない


しかし、

警察官の作成する備忘録は、犯罪捜査規範13条では、作成し、
保管しておくべきもの
としているのであり、取調警察官がこれに基づき
作成した備忘録であり、取調の経過その他参考となる事項が記録され、
捜査機関によって保管されている書面は、個人的メモの域を超え、
捜査関係の公文書
ということができる。

これに該当する備忘録については、当該事件の公判審理において、
当該取調状況に関する証拠調べが行われる場合には、証拠開示の
対象となり得る。

「家賃滞納でドア施錠」は違法 福岡地裁「占有権侵害」 [法律]

この記事、タイトルがちょっと誘導しています。

まるで、家主がドア施錠したから違法のように思ってしまいますが、実は異なります。

http://www.asahi.com/national/update/1225/SEB200812250008.html


事案の概要
「賃貸アパートの家賃を滞納したことから部屋のドアをロックされ退去を迫られたのは違法だとして、東京都の男性が、家主に慰謝料など110万円の損害賠償を求めた」

判決は、
「賠償請求は棄却したものの、補助参加人として訴訟に加わった家賃保証会社(東京)がドアをロックした行為については、「男性の占有権を侵害し、不法行為にあたる」として違法と判断した。」

「同社が家賃の肩代わりを最小限に抑えるためにドアをロックしたと指摘。
(中略)
賠償請求については「ドアロックについては家主の関与が認められない」として請求を棄却した。」


この内容は、

この訴訟が借主たる賃借人(借家人)と貸主たる家主が当事者で、補助参加人として家賃保証会社が
参加し、この家賃保証会社が借家のドアをロックした行為が不法行為であり、家主はそのドアロック
行為に関与していないため、借主は家主に対して損害賠償請求は認められないとしています。


簡単に表すと、

訴えの内容
当事者:借主→家主
理由:家主がドアをロックしたから違法行為として損害賠償請求。

判決
家賃保証会社がドアをロックした。家主は関与していない。
借主が家主に対してした損害賠償請求は認められないよ。



さて、もう少し内容に踏み込んでみます。


まず、補助参加人について

補助参加人は、訴訟の結果について利害関係を有する第三者に認められます(民訴法42条)。


難しいので省略しますが、
「訴訟の結果」は、主文のみならず、判決理由中の判断も含み、「利害関係」は法律上の
利害関係で論理的関係があれば認められます。


家賃保証会社に不法行為が認められるとする内容は、家賃保証会社が違法行為をしたことに
ついて、法律上の利害関係を有するので、補助参加人として認められます。


補助参加人として参加し、訴訟を追行した結果、ドアをロックした行為について
家主に違法性はなく、家賃保証会社にあるため、借主が家主に対して求めた
損害賠償は認められない。


そして、補助参加人として認められたけど、借主の請求は棄却されたから、参加的効力は
家賃保証会社に対して認められない。


すなわち、借主は、家主に対しては不法行為に基づく損害賠償請求は認められないけど、
家賃保証会社に対しては、認められる可能性があるが、この判決においては、元々の
訴えが、借主から家主に対してであり、家賃保証会社に対してではないので、
棄却判決が下されている。

だから、借主は、家賃保証会社を相手取って別訴を提起すべきである。

でも、今回の判決が出たからといって、当然に家賃保証会社に対して損害賠償請求が
認められるわけではなく、訴えて立証活動によって認められないと、損害賠償請求は認められません。


といった内容です。


また、家主がドアをロックした行為について関与していた場合、家主に対して損害賠償請求が認められた
可能性がありますね。

この点については重要です。



本来、契約解除又は契約終了でない限り、借主は家賃を滞納したとしても契約が存続するため、
借家を占有する権限があります。

そして、家賃滞納により債務不履行による解除として、解除権を行使した場合、解除が認められます。

そうすれば、借家を明け渡せと裁判所に請求でき、認められれば、執行すればよいのだと思います。

ストーカー事件で有罪判決を受けた下山判事を罷免 [法律]

ストーカー事件で有罪判決を受けた下山判事が国会の弾劾裁判所で罷免判決が確定したようです。

これによって、憲法で保障されている裁判官の地位を失職しますね。

罷免判決は、7年ぶり6人目だそうです。

罷免によって失職するまでは、給料は停止しませんね。

79条6項
「最高裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。」



「女性に繰り返しメールを送ったストーカー規制法違反罪で有罪が確定した下山芳晴判事(55)について、国会の裁判官弾劾裁判所(松田岩夫裁判長)は24日、罷免の判決を言い渡した。判決は確定し、下山判事は法曹資格を失った。裁判官の罷免は児童買春事件の東京高裁判事以来7年ぶりで、6人目。
(略)」

記事引用
時事ドットコム
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008122400557

九十九電機が販売一時中止 譲渡担保権について [法律]

九十九電機が集合動産譲渡担保権の実行により営業を一時中断しています。

http://plusd.itmedia.co.jp/pcuser/articles/0811/21/news083.html


以下、ものすごく複雑な集合動産譲渡担保権についての解説をしてみます。
長文なので、興味がある人は、腰を据えてどうぞ…w。



譲渡担保について

譲渡担保権とは、条文はありませんが、担保となる目的物に、債権についての担保権を設定し
担保権を設定した者、すなわち持ち主に占有させるもので、条文のある抵当権に似ています。


つまり、条文はないですが、商慣習法上必要だし特定があれば当事者にとって
不都合はないから、認められるのです(必要性と許容性の要件を満たす)。

#ちなみに条文のある質権は、質権者、すなわち、質権をつけた人である債権者が占有を取得します。


例えば、AがBさんに100万円を貸しているので、Bさんは、Aさんにその100万円の担保として
宝石をAさんに譲渡したように契約をして、宝石を担保にするけど、宝石はBさんが
持っているというものです。


これを占有改定といいます。

で、債権の履行期が来たのに、弁済しない、つまり、上記の例だと100万円を返してくれないので、
譲渡担保権を行使して、宝石を誰かに処分することができます。


ただし、その宝石の価値が100万円ならAさんは債権が回収できていいのですが、200万円の場合、
債権者が得をするので、100万円分を返せとBさんは言えます。


そして、占有はまだBさんにあるので、Bさんは100万円をくれるまで、宝石を渡さないと主張できます。

これが譲渡担保権の流れです。

条文はありませんが、商慣習法上必要のため、認められています。


集合動産譲渡担保権は、、

複数の動産を一括して譲渡担保権とすること

です。


集合動産の譲渡担保が認められるかについては、いろいろと問題があるのですが、

判例 「『構成部分の変動する集合動産』についても、その種類、所在場所及び量的範囲を
指定するなどなんらかの方法で目的物の範囲が『特定』される場合には、一個の
集合物として譲渡担保の目的となりうる(最判昭54.2.15)。」


としており、特定性の問題が解決すれば、譲渡担保権の目的物とし得るとしています。

ここで、目的物は原則として債務者の所有物である必要があります。


しかし、抵当権者は担保権を取得するのであるのに対し、判例は担保権者は
所有権を取得するとしています。

一般的な見解は、担保権設定であるから、担保権しか取得し得ず、所有権は
取得し得ないとしています。



この所有権を取得するか、担保権を取得するかは、以下の点で問題になります。


集合動産に先取特権が付与されている場合です。


動産を売った人は、特定の動産について代金の担保として先取特権という担保権が
法律上当然に発生します。


例えば、Aという商品の販売会社Xが売買代金を回収するために先取特権者となり、
BというXが販売していない商品の上に先取特権が生じる場合です。


この先取特権を行使すれば、差し押さえができ、Aという商品の売買代金を回収できます。


しかし、その目的物について民法333条の第三取得者が存在すれば、先取特権を
主張できません。

すなわち、第三取得者とは、所有権を取得した第三者、すなわち今回は
譲渡担保権者であるNECリース株式会社です。

これは、動産の先取特権は、他の人たちに公にする方法がないため、
第三取得者が取得すれば、取引の安全を守るために、第三取得者を
保護するものです。


これを難しくいうと、先取特権の追及力を否定し、動産の取引の安全を
図ったといいます。


さきほどの譲渡担保権者が所有権者となると、第三取得者になります。

一方、譲渡担保権者が担保権を取得するのみで、所有権を取得しないと
第三取得者にならないのです。


このような違いが生まれます。


今回の件とは話が反れました。


ふぅー。法律ってやつは難解です。

棄却と却下の違い [法律]

ちょっと気になったので…。


よく耳にする棄却判決と却下判決。

この違いは民事訴訟においてあります。

前者は、原告の請求に対する裁判所の判断であり、原告の請求に理由がないとする
裁判所の判断のことで、確定判決であれば既判力が生じます。

後者は、不適法であるためになされるもので、訴え却下、訴訟判決とも呼ばれます。

請求に対する実体審理に基づく判断ではないため、紛争の解決としての既判力は生じません。

では、訴訟要件の欠缺に対する既判力については争いがありますが、
紛争の蒸し返し、当事者の応訴の煩の防止から、当該訴訟要件については、
既判力が生じ、同一の訴えは提起できないとされています。



既判力は、後訴に対する前訴の判断の拘束力のことをいいます。
積極的作用としては裁判所を拘束し(前訴の判断を前提に後訴を審理する)、
消極的作用としては当事者を拘束します(前訴に矛盾する主張は不可)。

民訴法114条に規定されている客観的範囲、
115条に記載されている主観的範囲、
あと口頭弁論終結時とする時的限界があります。

客観的範囲とは、請求のどこまでに既判力が及ぶかであり、
主文に記載された判断にのみ及ぶのが原則です。

主観的範囲は、誰に既判力が及ぶかであり、
原則として訴訟当事者です。



刑事訴訟法においては、公訴棄却と免訴判決、実体判決(有罪無罪の判断)があります。

公訴棄却は、刑訴法338条の各号に該当する場合があります。
訴訟要件が欠けた場合になされるので、訴え却下判決と似ています。

免訴判決は、国家の公訴権が喪失した時になされ、刑訴法337条各号に該当する場合があります。

ブルドックソース事件最高裁判決 [法律]

去年出ていたブルドック事件最高裁判決、面白い内容です。

判例検索システム
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この事件は、ブルドックソース社の買収防衛策のうちポイズン・ピルが有効と認めた最高裁判所の判例で、新株予約権を買収元企業であるスティール社の株主に割り当て、スティール社は新株予約権を行使できないと規定して、持ち株比率の低下を図ったもの。

これに対してスティール社が新株予約権無償割当の発行の差止等を求めて争ったもの。


株主平等原則(会社法109条1項)に反するため、差し止め可能と主張したことに対し、判決は以下の通り。

その前に、株主平等原則は、
株主は、株主を資格に基づく法律関係においては、その保有する株式数及び内容に応じて平等に取り扱わなくてはならないとする原則である。


これは、株主はその所有者が誰であってもいいのであるから(非個性)、株式の種類とその持ち株数に応じた取扱いをすることを定めたものであり、それに違反すれば、無効とすべき原則である。

判決は、個々の株主の利益は、一般的には、会社の存立、発展なしには考えられないものであるから、特定の株主による経営支配権の取得に伴い、会社の存立、発展が阻害されるおそれが生ずるなど、会社の企業価値がき損され、会社の利益ひいては株主の共同の利益が害されることになるような場合には、その防止のために当該株主を差別的に取り扱ったとしても、当該取扱いが衡平の理念に反し、相当性を欠くものでない限り、これを直ちに同原則の趣旨に反するものということはできない。
そして、特定の株主による経営支配権の取得に伴い、会社の企業価値がき損され、会社の利益ひいては株主の共同の利益が害されることになるか否かについては、最終的には、会社の利益の帰属主体である株主自身により判断されるべきものであるところ、株主総会の手続が適正を欠くものであったとか、判断の前提とされた事実が実際には存在しなかったり、虚偽であったなど、判断の正当性を失わせるような重大な瑕疵が存在しない限り、当該判断が尊重されるべきである。

としました。

つまり、株主平等原則は、新株予約権についても適用はあるが、取扱いが公平の理念に反し、不相当でなければ、原則に反しない
ということです。

原則の範囲内であるとして、例外として認めたものではないという趣旨です。

三和ファイナンスに対して債権者が破産申立て [法律]

消費者金融の準大手である三和ファイナンスに対して債権者らが破産申立てをしているそうです。

http://mainichi.jp/select/wadai/news/20080913ddm012040105000c.html
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080912-OYT1T00696.htm

このような事例は初のようです。


三和ファイナンスに対して債務者らは過払い金が多くあります。
いわゆる利息制限法超過です。


それの返還請求を債務者らにされ、認容判決や和解も確定しているのに、支払を滞らせているのです。

そうすると、債務者らだった人が債権者になり、三和ファイナンスは支払い金を隠したり、無視したりして資金流用を防止するためだそうです。


破産手続きが認められると、破産管財人が財産管理をするので、三和ファイナンスは資金を動かすことができなくなります。


破産法はよく知らないのですが、債権者らにも当事者適格があるんですね。

つまり、破産手続きは本人のためであって、他人のためではないような気がしていました。

だから、本人しか破産手続きはできないものだと思っていました。

西山記者事件 [法律]

表現の自由における憲法判例で有名な西山記者事件の西山元記者が、国に損害賠償請求を求めていたそうですが、最高裁で棄却されて確定したようです。

民法の724条の不法行為時から20年の除斥期間を経過しているため、訴えの利益を欠くんでしょう。
しかし、西山元記者は、損害及びその加害者(国)を知っているのですから、消滅時効の3年にはあたるんじゃ?
時効停止事由でもあったのでしょうか?


西山記者事件
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A5%BF%E5%B1%B1%E4%BA%8B%E4%BB%B6

西山事件賠償訴訟、敗訴確定
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-135871-storytopic-1.html
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080902/trl0809021634007-n1.htm
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008090200761
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080902-OYT1T00686.htm?from=main5
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20080902AT1G0203E02092008.html
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080903ddm012040011000c.html

契約締結上の過失 [法律]

ITProに契約締結上の過失の話が載っていました。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20080806/312327/


これって結構難しい理論です。


内容は、契約締結前、締結後、契約履行後の段階があると思うのですが、
いずれにしても過失による債務不履行責任の追及ですから、損害を受けた側が立証責任を負います。


締結前なら、契約の段階がどのぐらい進んでいたか、締結寸前で破談にされたら、損害を受けたから賠償しろってのが原告側。

締結後なら、契約から派生して損害を被ったから、賠償しろってのが原告側。

履行後も同じ。

相手方も義務違反では無いと主張するでしょうから、これを崩すのは難しいでしょうね。

机上と実務の乖離でしょうか。

刑法の面白い(?)話 [法律]

刑法についての知識を深めていると面白い話がありました。

誤想過剰防衛というやつです。

ものすごく複雑な流れだと思います。



例えば、相手が殴りかかってくるものと誤信し、傍にあった日本刀を、それと認識しながら使用して相手方に切り付けて重症を負わせた
という事例。

本来、相手が本当に殴りかかってくるなら、正当防衛成立の余地がありますが、そうだとしても、日本刀で切り付けるのは相当性を欠く可能性があり、過剰防衛となるのが妥当。

しかし、さらにこの事例では、急迫不正の侵害、すなわち正当防衛が成立するかどうかの要件を誤信しているので、違法性阻却事由の錯誤があることになる。

誤想防衛を、まずどう評価するか。

違法性阻却事由の錯誤
・事実の錯誤として故意を阻却
・法律の錯誤として故意を阻却しない
のいずれかがあります。


違法性阻却事由の錯誤が反対動機の形成を不可能にしたと考え、前者の見解が妥当で、故意を阻却し、誤認について過失があれば過失犯が成立する。


そうすると、誤想過剰防衛の場合、過剰性の認識の有無で異なります。


◎過剰性の認識が無い場合

・違法性阻却事由の錯誤として故意を阻却し、過剰性の認識がないのであるから、故意阻却のまま。

ただし、誤認について過失がある場合には過失犯の成立は否定されない。

・36条2項の適用ないし準用があるかについては、36条2項が防衛行為において、防衛者は急迫不正の侵害に対して、興奮、逆上、狼狽していることから、相当な防衛行為を期待することはできないことから、責任非難が減少するとするのが妥当。

よって、過剰性の認識が無い場合にも36条2項のように責任非難が減少するのは変わらないため、36条2項の準用を認めるべき。

本件においては、過失傷害罪が成立し、36条2項の準用が認められる。


◎過剰性の認識がある場合

・違法性阻却事由の錯誤は認められるが、過剰性の認識をしている以上、反対動機の形成があるのにあえて犯罪を実現したこと、すなわち、正当防衛ではなく、過剰防衛の成立の可能性を認識しているのにあえて実行した場合には、故意は阻却されない。
よって、故意犯が成立する。

本件事例においても傷害罪、もしくは殺人未遂罪が成立する。

・36条2項の適用ないし準用があるかは、上記の通りなので、準用を肯定する。
ただし、過剰性の認識が無い場合でも過失犯が成立し得ることとの均衡から、36条2項の準用を認めても刑の免除は不当であることから、刑の減軽のみ認められる。

本件事例においては、傷害罪、もしくは殺人未遂罪が成立し、36条2項の準用による刑の減軽を認める。




多分、日本刀であることを認識して、相手を切り付けたら、正当防衛と思っていても殺人の故意はあると認定されるんじゃないでしょうか。

蘇民祭の全裸について [法律]

蘇民祭について色々な意見がありそうです。

刑法のわいせつ罪の観点の記載等があったので、憲法的観点から述べてみます。

私見なので、絶対ではありません。

蘇民祭における、全裸を禁止する警告、法律は許されるか?

20条1項の「信教の自由」を侵害しないか?

信教の自由は、歴史的弾圧の点から、内心にとどまる限りは、19条の思想、良心の自由同様絶対的に保障される。

しかし、外部的行為を伴う場合は、他の人権との衝突のおそれがあるため、「公共の福祉」(12条後段、13条後段)による制約を受ける。

では、いかなる制約が許されるのか。

信教の自由が歴史的背景から、重要な権利として保障されなければならない。
また、信仰者等の少数者の自由が侵害されやすいものである以上、できる限り保護すべきである。
よって、制約の目的、程度、達成の必要性、制約対象が信仰の核心か、信仰に与える影響、程度、不利益等を総合考慮して判断すべき。

本件における行為は、宗教的行事の一環であり、伝統的に継承されてきたものである。
そして、地元に密着しており、地元にとって認められてきた伝統行事である。

一方、全裸について禁止する制約目的は、善良な風俗の健全性の維持であり、これ自体は正当である。
そして、その程度も禁止による罰則等があるなら重いが、警告、注意のみであるならば、程度は軽い。
また、警告、注意により主催者が対応を考慮するのであり、目的達成が可能である。

もっとも、警告、注意の内容が全裸をいかなる場合もすべて禁止する場合には、一考すべきである。
すなわち、観光客を入れない状態にする、信者のみで構成された場所のみで行う等、信仰の自由に基づく外部的行為を制限しているのであれば、警告、注意も妥当といえる。

しかし、蘇民祭における全裸が、信仰の核心か否か、信仰に与える影響の程度、不利益の程度は不明である。

仮に全裸が信仰の核心であり、全裸を禁止することで与えられる影響の程度、不利益が大きいのであれば、警告、注意といえども、信教の自由の侵害になりうる可能性がある。

以上のことから、警告、注意の具体的内容によっては行き過ぎの場合もありえるし、具体的内容が軽微であっても、信仰の核心、多大なる影響を及ぼすのであれば、信教の自由を侵害する場合もありえるといえる。

とまあ、色々書いてみましたが、全裸の位置づけが信仰のどこにあるのかを知らない以上、ここまでしか考えられないです。

*****追記******
祭で全裸になることが善良な風俗を乱すのか。この点も考慮する必要があると思います。

本来、刑法175条でいうわいせつの概念も、必要最小限の性道徳の維持のために刑罰を科し、規制しているのであるから、祭において全裸になることがこの性道徳に反するかどうか、憲法的にも善良な風俗を乱すのかどうかという点が問題になりますよね。

祭が一時的、あるいは年に一日のみであれば、それほど影響は及ぼさないのではないかとも考えられますし。

やっぱりかなり難しいですね。

それと、もう一点。全裸として参加している人たちが、祭だからという理由であり、信仰心からではないというのもありうるでしょう。

そうなると、全裸になる自由は?

憲法13条が保障しているものが、人として生存に必要なもののみ対象であれば、喫煙の自由同様、尊重に値するが、13条では保障されないとすれば、全裸になる自由は憲法上の権利ではないといえます。

憲法上保障されない自由であっても、制約は最小限であるべきであるから、
祭において全裸への規制は善良な風俗の維持目的とし、制約目的の必要性もいえるでしょう。

その手段も注意、警告をしてそれでも行われるなら刑罰を科すことも実効性確保のため許されるかも。

しかし、感覚としては、祭だし、一日だし、酒も入るだろうし、まじめにやってるし、地域住民にも理解されているし、いいんじゃないの?
とも思ってしまいます。

よくある論調で、他でも同じような祭があるじゃないかというのは、まったくの根拠がないですね。


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企業買収とその防衛 [法律]

いっとき騒がれました、会社の企業買収とその防衛策についていろいろあるんですね。

面白いのでメモ

敵対的買収の手法
■強制的公開買付の規制
 上場企業の株式を市場取引以外の方法で買い付ける場合、原則として公開買付の方法でなければならない。

■公開買付(TOB)
 不特定かつ多数のものに対し、公告により株券等の買付等の申し込み又は売り付け等の申し込みの勧誘を行い、取引所有価証券市場外で株券等の買付を行うことをいう。
 買収者が買付価格や買付株数、買付期間を一定の範囲内で自ら設定できるため、必要資金をあらかじめ想定することができ、また、比較的短期間で大量の株式を取得可能。
 通常、売付の応募が設定した株数に達することを停止条件(設定株数に達することで初めて有効となる)としているので、応募が少なく失敗に終わった場合には応募株式の買付を行わなくても良い。

事前の防衛策
■安定株主の確保・維持
 安定株主がいればその者が譲渡しなければよい
・従業員持株制度・・・従業員が株主
・役員持株会制度・・・役員が株主
・取引先持株制度・・・取引先が株主
・長期保有目的を有する個人株主の増加

■企業価値の向上・減殺
・時価総額の極大化
 時価総額=株価×発行済株式総数
 時価総額を大きくすれば、買収の負担が高くなる
・ゴールデン・パラシュート
 対象会社の取締役が解任された場合、この者に多額の割増退職慰労金を支払う制度を定め、買収者が取締役の解任を行うためには会社が巨額の退職金を負担しなければならない

■法的・組織的防衛
●株式取得の困難化
・ゴーイングプライベート
 経営者等が株式を取得し、株主数を減少させ、株式の購入ができないようにし、株式を実質的に非公開とする
・子会社の上場廃止
 親会社と株式交換を行う等、親会社の完全子会社として株式を非公開化

●議決権比率の減少化
・新株予約権によるライツ・プラン(ポインズン・ピル)
 敵対的買収者が一定比率以上の株式を取得する自体が発生したら、株式を有利な価格で取得できる権利(新株予約権)を買収者以外の株主に与えて、その権利を行使させて株式を発行させ、買収者の議決権比率を低下
・株式分割
 既存の株式を細分化して従来よりも多数の株式とする(会社法183条1項)
 株式数が増加するので、1株の価値が小さくなる
 公開買付の場合に、買付価格の引き下げ禁止、公開買付の撤回禁止(証券取引法)が適用されれば有効
・スーパーマジョリティ条項
 買収者が要求すると考えられる合併、事業譲渡(会社法467条)、定款変更、取締役の解任(会社法339条)等の決議要件を法律の要件よりも加重する
 通常、これらは株主総会の特別決議が必要で過半数の出席で、出席者の3分の2以上の多数が必要
・黄金株
 合併承認決議や取締役選任・解任決議に対する拒否権を持つ種類株式を発行
・発行可能株式総数の拡大
 機動的に新株を発行しやすくすることで、買収者の議決権比率を希薄化できる
・株主割当による発行登録制度
 事前に発行枠を届けることで、一定期間は届出等の手続を簡略化して新株等を発行することができる制度

●取締役の期差選任
●基準日制度

買収開始事後の防衛策
・買収防衛策としての増配
 会社の株価の上昇を図り、買収コストを高める
・ホワイトナイト
 友好的会社が協力
 友好的M&Aや第三者割当増資の引き受け、クラウンジェルの譲渡先になる第三者・会社
・防戦的自社株買い
 自社株式を消却(会社法178条)することにより発行済み株式を減少させ、1株あたりの利益を高め、株価上昇させること
・第三者割当増資
 特定の第三者が会社に対して払い込みを行い、株主となる
 割当を受けなかった既存株主の議決権比率が低下
・パックマン・ディフェンス
 逆に買収
・クラウンジェル
 会社の主要な事業や重要な財産等、企業価値の源泉を第三者に売却する等をして、企業の魅力を低下させ、買収意欲をそぐ


JASRAC [法律]

JASRACに関しては、ミュージシャンとして活躍している人も面倒だと聞いています。

ライブハウスで実際の曲をコピーして演奏した場合、客から入場料金を取るわけでなくても、料金徴収の可能性がありますし。

コピーバンドやるのも各メンバーが楽譜を買わないといけないの?とか。

音楽学校で譜面のコピーは禁止だ!とJASRACから警告があったようですし。

確かに作曲者、編曲者、版権(出版)元の権利は守るべきだろうと思いますが、度を超えた場合、それはたとえば、法定速度を1kmでも超えたら罰金となるのと同じで、ギスギスした世の中になりかねません。

目に余る行為から著作権料を徴収すれば良いのに、そうでもない行為を取り締まるのは秩序ある世の中の利益を超えて、むしろ権力者の横暴、いうなれば行為の濫用といえるんじゃないでしょうか。


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